栃(とち)とは?
とちの実について
とちの木になる「とちの実」は、厚い果皮の中にある種子のことで、その果皮の中
には1個、大きいものだと2個・3個のとちの実が入っています。
夏の終わりから秋になると、黄緑色から茶色に熟した厚い果皮が三裂し、中の種子
(とちの実)が顔を出します。とちの実1個のサイズは、約3~4cmです。
木が高くなるとちは、直接、実をとることが難しいため、果皮ごと落ちてきたもの
の中から実を採取するのが一般的です。
とちの実は見た目が栗と非常によく似ており、栗のとがっている部分をなくし丸み
をつけたような形、色を濃くし光沢がある、見た目にもかわいらしいコロコロと
した愛嬌のある実です。
見た目は栗そっくりですが、味はまったく違い茹でてもすぐに食べることはできま
せん。
とちの実にはサポニンやアロイン、タンニン(ポリフェノールの一種)を多く含み
そのまま食すと非常に強いアクがあり、あく抜き作業をしないと渋みや苦みで舌が
ビリビリとなり、口にすることができないのです。
トチノキ属が分布する世界の各地の中でも、あく抜きをして実を食す文化を持つ
のは日本だけです。とちの実のあく抜き作業は、高度な技術と根気が必要で、あく
抜きをしなければ食べることができない食材の中でも非常に手間がかかります。
主に街路樹として植えている他国では、薬用や漢方としてとちの実を活用している
ようです。
また、とちの実の食文化は縄文時代から続いており、複式炉(灰の貯蔵施設をもつ
炉)の遺跡からもとちの実が発見され、その時代から灰によるあく抜きがおこなわ
れていたといわれています。何年もの長期保存もきき、貴重なデンプン源で、
栄養価にも富んだとちの実は保存食としても大変重宝されてきました。